賠償請求に向けて知識と心構えを準備する
事故直後は苦痛で何も考えられなかったと思います。
そしてその後は治療費の心配、休んでいる仕事の心配。
後遺障害が残りそうな場合は将来の不安に胸が押しつぶされている思いでしょう。
しかし、治療が一段落したなら、いろいろ現実的なことを考えていかなければなりません。
そのことをお話します。
治療費打ち切りと示談申し入れ
保険会社から治療費の内払いを受けている場合、数カ月後に打ち切ってくる場合があります。
まず打ち切りが打診され、こちらが了承しなくても強引に打ち切ってきたりします。
届いた通知には示談書が同封されています。
この事態に動揺して慌てて不利な示談に応じてしまう人もいますが、最悪の選択です。
こういうことをしてくるんだと最初から知っていれば、冷静に対応できます。
内払いの打ち切りは、それで治療費が全部だという意味ではありません。
主治医がまだ治療が必要だと言っているのに、保険会社の要求に応じて症状固定の診断をもらってはいけません。
内払いの継続交渉が決裂しても、健康保険に切り替えて自費で治療を継続しましょう。
お金に不安がある人は「当面の治療費の調達」のページを読んでください。
損害賠償の知識習得
完治・症状固定・死亡のいずれかの時点で損害が確定し、賠償請求が可能になります。
被害者は勉強しておかないと保険会社のいいようにやられてしまいます。
彼らは被害者の味方ではなく、会社の利益のために1円でも保険金の支払いを減らす使命を帯びているのです。
交通事故損害賠償も詳しく学ぶと膨大な勉強量になり、そこまでは必要ありません。
しかし、最低でも次の事は知っておいてください。
- 保険金には安い基準と高い基準があり、無知だと安く済まされてしまうこと
- 損害には多くの費目があり、漏れなくひとつずつ交渉しないと損をすること
- 相手が示談を急ぐのは、被害者が情報不足のうちに安い金額でまとめたいからだということ
1には「損害賠償額を増やすには」のページが役に立ちます。
2には「損害賠償請求の全体像」のページがいいでしょう。
仕事を休んで収入減が心配でしょうが、休業損害を請求できるのを知っていますか?
勤め人や自営業はもちろん、専業主婦もです。
治療費とか以外に慰謝料も請求できて、後遺障害が残った場合は2種類の慰謝料が請求できるのを知っていますか?
これらは全部、今紹介したページに出ています。
何も知らないとそういうことも全部適当に済まされてしまいます。
3については、「示談に早く応じるべきか?」のページに詳しく書かれています。
等級認定に向けて
後遺障害が残りそうな場合は、そろそろ後遺障害等級の認定に注意を移さねばなりません。
これは後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の算定に大きく影響します。
そしてたいていの場合、この2費目は治療費などよりずっと金額が大きいのです。
それだけに保険会社はできるだけ等級が低くなるように持っていこうとします。
特にむち打ちのように、外見で後遺障害の有無が判断できない症状では、等級の取得自体を妨害してきます。
その代表的な手法が「治療費の内払い打ち切り」なのです。
こうしたことも先ほど紹介したページに書かれているので、よく読んでください。